倫理委員会承認番号20221069
人間ドック受診者の認知症バイオマーカー研究
(略称-血液による認知症リスク診断-)
この研究の目的
わが国では、現在65歳以上の約1割が認知症と報告されており、21世紀医療の大きな課題であります。認知症の代表であるアルツハイマー病に対する薬剤の効果は限定的であり、早期発見、予防が重要と考えられています。
そこで、血液で認知症になりやすさ(リスク)を診断し、早期に積極的治療介入し認知症予防の重要性とされています。
近年の技術では、血液バイオマーカ―(アミロイド、ニューロフィラメントLなど)により約90%の正確さで認知症のリスク診断が可能とされています。この血液バイオマーカ―が陽性だと将来約10倍認知症になりやすいと報告されています。
一方、危険因子(「高血圧」「聴力低下」「抑うつ」「社会的孤立」等)の排除により35%の認知症が予防できると報告されています。また、認知症ハイリスク高齢者を対象とした研究では、血管病変のリスク管理など、多角的介入によって認知機能の維持・向上が期待できることが報告されています。
この研究の実施方法
本研究は、慶應義塾大学予防医療センターでおこなわれます。人間ドック受診者のうち希望者に血液検査(6cc)で認知症リスク診断を行います。ハイリスクの方には、当院メモリークリニック受診を推奨し、詳細な病態評価と積極的治療により認知症予防を行います。また、血液バイオマーカーの結果と臨床データの比較を行い認知症リスク軽減方法の探索に役立てます。